生への帰還
内容
強盗殺人犯の逃走車が息子の命を一瞬で奪ったとき、ディミトリの人生は終わった。三年後、哀しみの底にいるディミトリは、同じ事件の犠牲者の遺族たちと会うことで唯一の慰めを見出していた。やがてディミトリは、息子を殺した強盗犯が街に戻ってきたとの情報をつかんだ。それと同時に、彼の胸には命を賭けた復讐の念が…ハードボイルドの次代を担う著者が、命とは、人間の罪とは何かを問う。ワシントン・サーガ完結篇。
ここが凄い!
- 文章が平易で読みやすい。
- 視点の移動の不統一が今作はあまり気にならない。
- 今回はミステリー色、探偵小説色が結構強い。
- 相変わらず市井の人々の生活の描写が達者。これこそ今シリーズの魅力。
- 敵役が凄く強烈。シリーズ中一番!
ようやくペレケーノスのワシントンサーガ全シリーズ読み終わりました。
途中いろいろ不満はありましたが、全作読み終わってみると結構満足です。
それはやっぱり今作品の完成度の高さによるところがおおきいのではないでしょうか。
ミステリー色も強いのでハードボイルドファン以外も結構楽しめます。
シリーズ中最高傑作かも。
作品の完成度 3=4>1>2
こんな感じのシリーズだと思います。
ただ四作目の感動を味わうためにはやはり一作目から順番に読むべきですね。
あけましておめでとうございます。
あけましておめでとうございます。
去年の読書量は、小説が延べおよそ50冊ですか。
少ないなあ。今年はもっと少なくなりそう。
幽霊たち
内容
私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何も変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー…。’80年代アメリカ文学の代表的作品。
ここが凄い
- 文章が平易で読みやすい。
- 何も起きない。
- でも起伏にとんだ物語。
- 挿入されるエピソードがそれぞれ興味深い。
- どんどん人物たちが抽象的に、透明になっていく。その過程が恐ろしく、そして面白い。
- ラストは少し後味がよい。
ポール・オースター「ニューヨーク三部作」の二作目。
個人的には前作の『シティ・オブ・グラス』より楽しめました。柴田元幸氏の訳のおかげ?
とにかくいろいろな解釈が可能な作品ですが、純粋に面白い読み物として味わってみても十分な満足感が得られる作品だと思います。
殺戮にいたる病
内容
永遠の愛をつかみたいと男は願った――東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔! くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。
ここが凄い!
- 文章が平易で読みやすい。
- 犯人、犯人を追う人間、犯人に近い人間 の三人称複数視点形式なので読んでて飽きが来ず、ぐいぐい読める。
- 内容は割と古典的なサイコキラーホラー。
- ミッシングリンクのミステリーとしても読めます。
森博嗣のルーツミステリィ100冊の『探偵映画』が面白かったので、我孫子武丸氏の代表作でもある今作も読んでみました。
なるほどこれは面白いなあ。
でもできれば刊行当時にリアルタイムに読むべきだったかも。この作品はやっぱり90年代の空気感の中で読むべき作品だと思うのですよ。
そっちのほうがこのサイコキラーのリアル感をより味わえたと思います。
そこらへんが少し残念。
大聖堂(上)(中)(下)
内容
いつかこの手で大聖堂を建てたい―果てしない夢を抱き、放浪を続ける建築職人のトム。やがて彼は、キングズブリッジ修道院分院長のフィリップと出会う。かつて隆盛を誇ったその大聖堂は、大掛かりな修復を必要としていた。折りしも、国王が逝去し、内乱の危機が!十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々が華麗に織りなす波瀾万丈、壮大な物語。
ここが凄い!
- 文章が平易で読みやすい。
- 三人称複数視点なので、場面が巧みに変わり読んでて飽きが来ない。
- 中世ヨーロッパの勉強になる。
うーん期待しすぎたかな。もうちょっと芸術的な精神性に触れられる作品なのかなと思ってたら、普通の人間ドラマものでした。それもどちらかといえば昼ドラ的な人間ドラマもの。
まあ中世ヨーロッパの雰囲気を知りたい人にはいいんじゃないでしょうか。
コニー・ウィリスの『ドゥームズデイ・ブック』もあわせて読むことをお勧めします。
雪密室
内容
誇り高い美女からの招待で信州の山荘に出かけた法月警視だが、招待客が一堂に会したその夜、美女が殺される。建物の周囲は雪一色、そして彼女がいたはずの離れまで、犯人らしい人物の足跡もついていないのだ。この奇怪な密室殺人の謎に法月警視の息子綸太郎が挑戦する。出色本格推理。
ここが凄い!
- 文章が平易で読みやすい。
- 作者が語ってるように完全にエラリー・クイーン作品を意識して作られている。
- 読者への挑戦!まである。
- 密室トリックとその解法はさすが。
やっぱりキャラクター描写がちょっと薄いかな。
特に殺害される女性についてはその美貌ぶり魔女ぶりをもっと書き込んでほしかった。
そうすればもう少し作品全体の奥行きと事件の神秘性が広がったと思います。
極大射程(上)(下)
内容
ボブはヴェトナム戦争で87人の命を奪った伝説の名スナイパー。今はライフルだけを友に隠遁生活を送る彼のもとに、ある依頼が舞い込んだ。精密加工を施した新開発の308口径弾を試射してもらいたいというのだ。弾薬への興味からボブはそれを引受け、1400ヤードという長距離狙撃を成功させた。だが、すべては謎の組織が周到に企て、ボブにある汚名を着せるための陰謀だった…。
ここが凄い!
- 文章が平易で読みやすい。
- 三人称複数視点なので、場面が映画のように切り替わり、読んでいて飽きがこない。
- 銃の描写がなんだかマニアック。
- 最初は退屈だが上巻後半あたりから一気に面白くなってくる。
- 主人公ボブのキャラクターと能力が圧倒的に格好良い。
- マッチョ。
ジェフリー・ディーバーの『ボーン・コレクター』を押さえて、2000年度版このミステリーが凄い!で一位をとった作品。
うーん確かに面白いけど、自分は『ボーン・コレクター』のほうが好きかなあ。
完全にミステリーの好みの問題だけど。