ガープの世界 上下

ガープの世界〈上〉
ガープの世界〈上〉
posted with amazlet on 06.03.09
筒井 正明 ジョン アーヴィング
新潮社 (1988/10)


凄い
かの有名なジョン・アーヴィングのベストセラー小説。世界で300万冊も売れたそうです。映画化もされました。
アーヴィングは19世紀の小説が大好きだそうで20世紀を代表する作家ジョイスをこき下ろしてたりもしてます。
日本では村上春樹さんからアーヴィングを知った方が多いそうですね。そこらへんの事情は残念ながら良く知りません。


内容は主人公ガープの一生をめぐる物語。物語。物語。
しかしガープが小説家、その母も文筆家という設定のためこの作品の中には本編と関連しながら複数の物語があらすじだけではなくまるまる一本入ってたりもします。
なかなか重層的なデザイン。

上巻を呼んでいるときには、「やっぱりエンタメで重要視されるのは事件で、文学で重要視されるのはエピソードだよな。」などと呑気に構えていたのですが、下巻に入ってからはもう事件事件の連続!
もうこれでもか!これでもか!というぐらいに主人公のガープにさまざまな「事件」が降りかかってきます。使い古された表現ですがページをめくる手が止まらず、一気に読み終えてしまいました。
上下巻あわせて1000ページ近くあるということを少しも感じさせませんでした。
にもかかわらずこの作品がエンタメではなく文学になっているのは、主人公ガープの事件に対する態度、の描かれ方によることころが大きいでしょう。
それはぜひ皆さんで読んで確かめてください。非常に面白い小説です。
文学はちょっと・・・。と毛嫌いしているエンタメ読者の方もかなり楽しめると思います。上巻は少し冗長ですが。
一つ難をつけるなら。そうですね、これは私個人の好みなのですが長いエピローグは必要なかったかなと思います。
アーヴィングが昔の小説に習ってこれをやってることは承知ですが私はあまり楽しめませんでした。
個々のキャラクターのその後の人生は読者に委ねても構わないんじゃないでしょうか。

それにしても訳者のあとがき、結構過激なことかかれてますね。勇気あるなあ。