イン・ザ・ペニー・アーケード

内容
遊園地のペニー・アーケードの様々な仕掛けに子供達が胸躍らせるように、本書の読者はミルハウザーの圧倒的な想像力の前に大いなる驚きと興奮を味わうことだろう。からくり人形師の信じ難いまでに洗練された芸術を描く傑作中篇「アウグスト・エッシェンブルク」を含む巧緻極まりない短篇集。
ここが凄い!

  • 文章が平易で読みやすい。
  • 描写が過剰。読んでて疲れるがこれがこの作者の持ち味であり売りっぽい。
  • エピファニー

スティーヴン・ミルハウザー。名前が格好良いよね。映画『ブレード・ランナー』に出てくる役者みたいで(それはルトガー・ハウアーです)。
この作品最初はちょっと読みにくかったんですよね。特に中盤の短編三つが。

唐突ですがジェイムズ・エルロイがミステリーアンソロジーで語っていた言葉

プロットと人物描写は即座に融合しなければならない。啓示は読者の心をとらえ、強くつかんでいなければならない。世界は明快な語句と含蓄から成り立たなければならない。バランスは完璧にとられなければならない。
(中略)
簡潔。正確。本質を抽出しろ、さもなければ、読者の嘲笑に晒されろ。物語で刺せ、啓示でたたけ、プロットで破裂させろ。

ミルハウザーは物語で刺すタイプでもなければプロットで破裂させるタイプでもなさそうです。
全編を貫いているのは「啓示」ですね。これをキーワードにして読むことでようやく読み進めることが出来ました。
出来ればこの作風で長編が読みたいなあ。
と思ってたらありました。『マーティン・ドレスラーの夢』。

イン・ザ・ペニー・アーケード
ティーヴン ミルハウザー Steven Millhauser 柴田 元幸
白水社 (1998/08)
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ベスト・アメリカン・ミステリ ハーレム・ノクターン
J・エルロイ&O・ペンズラー 木村 二郎 他
早川書房 (2005/03/09)
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