オランダ靴の謎
ああミステリを読んだなあ、とおもいました。
クイーンの国名シリーズ初挑戦です。以前読んだ『九尾の猫』では主人公のエラリイクイーンはちょっと自信喪失気味でかわいげのあるキャラクターだったんですが、この作品では自身満々で嫌みったらしいキャラクターです。おそらく間に何かあったんでしょうね。
非常にシンプルな作品です。
マジックにたとえるなら『Vernon Touch』(“余分な動作をギリギリまでそぎ落とし、すべての動作に必然性を持たせる”)。
観客を幻惑させるようなフラリッシュも無しです。
猟奇的なあるいは怪奇的な現象は何も起きません。したがって『魅惑的な謎の提示』という部分では少し弱いです。謎はただひとつ「誰がやったのか?」だけなのですから。
それでも私は楽しく読むことができたのですから、やはりクイーンは達者の書き手であるなあと感嘆しました。
それはやはりエラリイクイーンのキャラクターによるところも大きいと思います。
クイーンとパパクイーンのコンビ良いですよね。あと少年給仕のジューナ。
少しでも腐女子思考の持ち主ならクイーンとジューナの関係に対してにやりとするところでしょう。
エラリイは言いながら、少年の痩せてはいるが頑強な肋骨あたりを探って、〜
ニヤリ。
そういう意味でもお勧めの作品です。ああミステリ読んだなあ。